イノセンス
イノセンス
イノセンス After The Long Goodbye (デュアル文庫)
- 作者: 山田正紀,新間大悟,佐伯経多
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2005/09/06
- メディア: 文庫
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もともとメディアミックス物を好んで選ばないので、この本も連載してたのは知ってたけど特に関心無かったら、ゼミで取り扱ってる子がいると恩師から連絡を受けて今頃読んでみました。
攻殻のスピーディさや世界設定の複雑さを文章で読ませるのはめんどくさいなあという一面と、コンマ1秒単位で起こってるようなできごとを詳しく心理描写しているのは面白いという一面とあり。
時系列的には押井守の「GHOST IN THE SHELL」の後、「イノセンス」の前とあって、しかもハードボイルド系ライトノベル風なので、バトーがやたらストイックで固執すぎです。あくまで押井守のスタンスで書かれているので、文章で書かれるとすごくセンチな印象もある。少佐のことを「素子」と呼んでいるのは抵抗感あるな・・・。
「ガブがおれを愛してくれたほどにはおれはガブをイノセンスには愛していないという罪」のくだりが、(バトーはそんなこと考えやしないよ、と思いつつも)「イノセンス」でこの人が書きたかったのはこれだな、と思ったり。
# 音楽は波のようなもので、楽器から生で聴くときはその波を波のまま感じられるけれど、機械を通すと厳密には波のような形をしただけの階段で、幾ばくか波は切り取られ、本物とは違う音であるという話がある。そうしてその階段をできるだけ小さく細かくしていって、限りなく波に近づけたら、波と階段は同じか、そうでないかという議論を、いつも思い出すけれど、
その話を思い出すたびに、エンピツで直径1Mの円を書いて地球にみたときに、地球の一番深いところと一番高いところがそのエンピツの線の中に入ってしまうという、というくらいの驚きで、
「感動」があるなら、それが本物か本物じゃなかろうが、それで感動したんだからいいじゃないか、と思ったりする。